あなたは定期的に観たくなる映画ってありますか?
僕はあります。
観たくなる、というより観ておくべきと感じる映画ですね。
今回紹介する映画もその1つです。
もし、あなたの大切な人が突然いなくなって、その人が残した ”謎の鍵” があったら、あなたはどうしますか?
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』という映画は、ニューヨークに住む、繊細で生きるのに不器用なひとりの少年の心を通して描かれた作品です。
11歳のオスカーは9・11のテロで亡くなった父親の遺品から一本の鍵を見つけます。
その鍵に父からの最後のメッセージが込められていると信じ、鍵穴を探し出すためにニューヨークの街に飛び出しました。
鍵穴を探す中で、同じく悲劇で愛する人を失った人々と巡り合いながら、危険で怖いもので溢れる世界に立ち向かうことで、オスカーは成長していくのです。
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、この映画だけで一本のセミナーができるほど深い映画なので、まだ観ていなければ、ぜひ観て欲しいですね。
ところで、この映画は鍵穴を探す物語ですが、本質的に大事なのは鍵穴を見つけることではありません。
鍵穴を探す中で、オスカー自身が成長していくことに意味があります。
最初はオスカーも鍵穴さえ見つかればよかったのです。
でもその旅の中で、オスカーはたくさんの人と巡り合い、
彼らは歌を歌ってくれたり、
祈ってくれたり、
ハグしてくれたり、
乗馬をさせてくれたりと、
オスカーにいろいろな経験をさせてくれました。
その人とのつながりがオスカーの財産になったのです。
そして僕ら芸術家的教育者にも、成長するために探し求めるべき鍵穴が6つあります。
今回はその6つの鍵穴に対応する6つの鍵を紹介しますね。
その鍵が以下の6つのスキルです。
-
- マインドセット
- コピーライティング
- マーケティング
- コミュニティ化
- 集客
- マネタイズ
「鍵穴を開ける」とはもちろん比喩で、これら6つのスキルを習得することを意味します。
もしかしたら完全に鍵穴を開ける(=スキルを完全に習得する)ことは不可能かもしれません。
どのスキルも、どこまでも追求できるからです。
人間が完全な存在でない以上、何かを ”完全に” マスターすることはできません。
でも大切なのは鍵穴を開けることではなく、その鍵穴を探す中で、あなたが成長していくことです。
オスカーのようにね。
6つのスキルを学び続けてあなたの成長にして欲しいのです。
その成長物語は何ものにも変えがたい価値があります。
「輝くもの、必ずしも金ならず」
:ウィリアム・シェイクスピア[劇作家]
学び、成長していく人の姿は輝いて見えるものです。
オスカーも最終的に発見したのは自分自身の素晴らしさだったのですから。
それでは僕らの鍵穴を探す旅に出ましょう。
手がかりは6つのスキルです。
第1のスキル
マインドセット
マインドセットとはその人の心構えを含めた「思考回路の癖」のことで、「その人自身」を表す考え方のことです。
わかりやすく言うと「生きる態度」のようなものですね。
僕らの言葉で言うと美学が一番近いかもしれません。
マインドセットが変われば行動も変わり、行動が変われば人生が変わります。
あなたの人生は、全てはあなたのマインドセットによって支配されているのです。
「自分自身のものの見方を支配すれば、自分の人生を支配できる」
:ブルース・リプトン[発生生物学者]
リプトンが言うように、マインドセットを支配できれば人生を支配できます。
以前のどこかで、人は「思い込み」や「価値観」に縛られて生きているという話をしました。
その「思い込み」や「価値観」をフィルターと表現したのを覚えていますか?
また、別のコラムで彫刻家ロダンのこんな言葉を引用したことがあります。
「低俗な芸術家たちは常に他人の眼鏡をかける」
:フランソワ=オーギュスト=ルネ・ロダン[彫刻家]
眼鏡とはフィルターのことでした。
これはマインドセットのことを言っているのを理解してくださいね。
マインドセットは厳密にはスキルではありません。
しかしスキルのようにマインドセットも変えることはできます。
眼鏡を取り替えるように。
ただマインドセットを変えるのは、非常に難しいです。
今まで染み付いた考え方を捨てなければいけないからです。
それは今までの自分を捨てるということなのです。
そして採用すべきマインドセットを”見極める目”を持つ必要がります。
(どの眼鏡をかけるべきか、ということ)
世の中には人生に良い影響を与えるマインドセットと、悪い影響を与えるマインドセットがあります。
人生に良い影響を与えるマインドセットは良い習慣を作り、良い習慣はクオリティの高い人生を作ります。
人生に悪い影響を与えるマインドセットは悪い習慣を作り、悪い習慣はクオリティの低い人生を作ります。
「心というものは、それ自身一つの独自の世界なのだ、地獄を天国に変え、天国を地獄に変えうるものなのだ。」
:ジョン・ミルトン[詩人]ー『失楽園』
全てはマインドセットなのです。
マインドセットという概念を知っていれば、自分は今どういうマインドセットで生きているかを冷静に見つめることができるのです。
世の中の99%の人はマインドセットを意識せず生きています。
ということはマインドセットという概念を知っている僕らはそれだけアドバンテージがあるということ。
マインドセットとは、つまり「生き方の本質」なのです。
その人がどういう人なのかは、その人がどいうマインドセットなのかという意味なんですね。
マインドセットは芸術家的教育者としてクラシックに生きるための土台であり、全てなのです。
第2のスキル
コピーライティング
コピーライティングとは「人間の深層心理を理解し、言葉(文章)で読者に行動を起こさせる技術」のことです。
芸術家的教育者は必ずコピーライティングを学んでいます。
コピーライティングとはただの文章術ではありません。
「人間はどういう欲求を持っているか」
「人間が価値を感じるものは何か」
「人間はどのように感情を変化させるか」
というような人間の原理原則を知る行為全てがコピーライティングなのです。
そしてコピーライティングは、あなたの美学を正しく伝える技術でもあります。
人は些細な会話でさえも誤解を生みます。(あなたも経験あると思いますが・・・)
しかし、コピーライティングを学び、人間の脳の構造や心理を理解することで、相手に誤解させることなく、あなたの伝えたいことを伝えることにもなるのです。
コピーライティングは最強のコミュニケーションスキルでもあるということですね。
コピーライティングとは言うなれば、
画家にとっての筆、
音楽家にとっての楽譜、
映画監督にとってのカメラです。
自分のアート(美学)を表現し、自分の世界と相手の世界の架け橋となるものなのです。
コピーライティングは、もちろんビジネスでも非常に重要なスキルです。
「コピーライティングで解決しないビジネス上の問題は無い」
:ゲイリー・ハルバート[コピーライター]
ゲイリー・ハルバートは伝説のコピーライターで、DRMの権威でもあります。
世界中の大物コピーライターもゲイリー・ハルバートからコピーを学びました。
そんな彼が言った有名な言葉が上記で引用したものです。
コピーライティングはDRMを支えるスキルで、ビジネスの土台となるものです。
コピーライティングとは「人間の深層心理を理解し、言葉(文章)で読者に行動を起こさせる技術」と言いましたが、ビジネスの文脈で考えれば、コピーライティングの重要性が分かりますよね。
コピーライティングを深く理解していれば、顧客に「購入」という行動をさせることが(文章だけで)できるのです。
ビジネスで成功したいなら何よりも先にコピーライティングを学ぶべきなのです。
一方「文章を書く」というのは苦手な人からすると、天から授かった才能のように感じるかもしれません。
しかし、文章を書くのはスキルであって才能ではありません。
スキルは練習して習得することができるのです。
「でも、これからは動画の時代じゃない?いまさら文章を学んでもさぁ…」
…なんて言う人もいますが、動画の時代だからこそコピーライティングなのです。
テレビには台本があり、映画には脚本があります。
YouTubeなどの動画も、必ず企画から始まります。
そして企画は必ず文章レベルで作られるのです。
ライティング(文章力)は実際に「書く」という作業だけではありません。
企画を考え、構成を整え、伝わるように編集する。
全てがライティングのスキルです。
ライティングとは「考えること」なのです。
動画の時代だからこそ、今まで以上に文章を書くスキルは必須なんですね。
つまり、ライティングのスキルは一生モノのスキルだということです。
古代ローマ時代では書記官のことをディクタトルと呼びました。
これはディクテーター(=支配者や独裁者)の語源とされています。
古代において、文字が書ける人は支配者階級でした。
「ペンは剣よりも強し」
それほど文章の持つ影響力は強大なのです。
第3のスキル
マーケティング
マーケティングとは、あなたの存在を世界に知らせる工夫です。
それは、あなたがまだ出会っていない芸術家的教育者の仲間を救うためのものでもあります。
近い未来、あなたの仲間になるであろう彼らは、今まさに苦しんでいるかもしれません。
そしてその苦しみを解決してあげられる知識やスキルを、あなたが持っているとしたら…?
当然、助けてあげたいと思いますよね?
でも助けるためには、彼ら(未来のあなたの仲間たち)が、あなたのことを発見しなくてはいけません。
そのためにマーケティングによって、彼らにあなたの存在を知らせてあげるのです。
漫画『ドラゴンボール』の中で、「ドラゴンレーダー」という世界中に散らばったドラゴンボールの位置を特定できる道具が登場します。
マーケティングとはドラゴンレーダーのように、自分を「見つけさせる」ための工夫なんですね。
そして芸術家的教育者にとって最強のマーケティングがDRMです。
以前、DRMは「待ちの姿勢」という話をしました。
あなたはマーケティングを駆使して、未来の仲間があなたを発見するのを待っている、という状況を作る必要があります。
そうすることで、あなたの労力は少なく、かつ未来の仲間にとってはあなたを見つけやすいというWin-Winな状態ができあがるのです。
第4のスキル
コミュニティ化
コミュニティの大切さについては以前も語りましたね。
当然、芸術家的教育者は必ず学ぶべきスキルです。
生物はいつの時代もコミュニティ(群れ)を作って生き延びてきました。
それは人類だって同じです。
(宗教も一つのコミュニティです)
偉大な芸術家だって例外じゃありません。
ガートルード・スタインという美術収集家は、パリに画家(中にはピカソもいた!)や詩人たちが集うサロンを開いていたことで知られています。
そのサロンで様々な芸術家たちとが交流することで、現代芸術と現代文学の発展につながりました。
また、国が運営する美術展に落選した芸術家たちが、自分たちの表現を守ろうと団結して生まれたのが印象派でした。
偉人たちはコミュニティを作ることで活躍の場を広げ、歴史に名を刻んできたのです。
コミュニティは同じ志を持った芸術家的教育者の集まる場を作るということ。
それはあなたの「生きる場所」を作るということでもあります。
人間は有限の存在です。
だからこそ生きる範囲を決めることも時には必要です。
マイケル・ジョーダンは生きる範囲をバスケットボールに決めたし、スティーブン・スピルバーグは映画に範囲を決めました。
あなたは70億人から人気になりたいと思いますか?
誰からも好かれようとすることは、誰からも好かれようとしないことと同じです。
誰と関わっていたいか、
誰のために生きたいか、
なんのために生きたいか、
そうやって自分の活躍する場所を決めていけばいいのです。
誰かから必要とされることで人間は幸福を感じます。
99%の人に必要とされなくても、1%の人に必要とされるなら、あなたはその1%の人のために生きればいいのです。
少なくとも僕はそのつもりで生きています。
コミュニティは自分の生きる意味を知るためにも必要なのです。
第5のスキル
集客
芸術家的教育者にとっては集 “客” ではなく、「仲間集め」というイメージが近いかもしれません。
まぁ、コミュニティの文脈で見れば分かりますよね?
「でもビジネス的に見れば、より多くの人が来てくれた方がいいんだよね?」
…と、あなたは思うかもしれませんが、実はそうではありません。
人間関係を思い浮かべてもらうと、すぐに理解できると思います。
友達の数が多いのと、本当に信頼できる友達が何人いるかは、必ずしも比例しません。
「友達は100人いて、そのうち信頼できる親友が5人です」
「友達は20人いて、全員信頼できる親友です」
どちらが良い人間関係を作れているでしょうか?
コミュニティやビジネスで考えても全く同じなのです。
いかに自分の美学に共感してくれる人を増やし、そうでない人を排除するかが芸術家的教育者の集客です。
「仲間集め」とは仲間でない人を呼ばないという意味でもあります。
そして仲間となる人に、いかにあなたが必要だと思ってもらうかが鍵になってきます。
この辺はDRMと以前話したドリップ(抽出)の発想につながってくる考え方ですね。
全て繋がっているのです。
第6のスキル
マネタイズ
マネタイズとは収益化を意味します。
おそらく多くの人が一番興味がある分野だと思います。
しかし芸術家的教育者として考えると、実は一番優先度は低いものです。
なぜなら他の5つのスキルが満たされていたら、簡単にマネタイズはできるからです。
これは僕が多くの教材から学んだり、たくさんのコミュニティに参加してきて実感したことでもあります。
コミュニティに所属するとコンテンツの値段とかは、もはや関係ないんですよね。
僕も色々なコミュニティに参加してきましたが、「10万円クラスの教材を即決で購入」なんてことは当たり前に起こります。
別にあらゆるセールステクニックを駆使して無理やり買わせてるわけじゃないですよ。
「こんなセミナーやります。興味あれば参加してください」の一言だけで、コミュニティのメンバーたちは財布からクレジットカードを取り出すのです。
実際、僕もたくさんのお金を払ってきましたが「この人のコンテンツは価格がいくらでも買う」というマインドセットができているのです。
そのコンテンツに価格以上の価値があることを、僕はもう知っているので。
逆にあなたが提供者になったとして、想像してみてください。
「あなたのコンテンツは価格がいくらでも買います!」
そう言って、あなたのコンテンツは値段に関係なく売れていくのです。
これ、ウソじゃないですからね。
例えば新型のiPhoneが発売になったら、前日からAppleの路面店に並んで買う人が一定数います。
彼らがiPhoneの価格を見て購入を判断していると思いますか?
例えばジャニーズのファンはチケットの価格でライブに行くか検討するでしょうか?
価格なんて見てないんですよ。
iPhoneがいくらで売ってようが、AppleのコミュニティのメンバーはiPhoneを購入します。
ライブチケットがいくらだったとしても、さらにライブ会場が海外だろうが、ジャニーズのファンはチケットを買ってライブ会場まで足を運ぶのです。
これがコミュニティの力なんです。
マネタイズに特別なテクニックを使っているわけではありません。
…とは言え、時代によってマネタイズのやり方も変わることもあります。
そこで大切なのが「人々は何を求めているのか?」を注意深く観察することです。
そこにあなたの美学やコンテンツを当てはめていくことでマネタイズは達成されます。
20年前のコンテンツ形式が現代でも受け入れられるとは限りませんよね?
例えば昔はCDが売れましたが、データ管理になった現代ではCDは売れなくなりました。
しかしコンサートやライブチケットは現代の方が売れています。
これはなぜでしょうか?
答え合わせはまた別のコラムへと回しますが、大切なのは、時代が何を求めているか(時代感)が重要だということです。
何よりも、コミュニティの有無によってマネタイズがいかにスムーズになるかが理解してもらえれば十分です。
鍵はそろった。
さあ、旅へ出よう。
僕ら芸術家的教育者が習得すべき6つのスキルは揃いました。
あとはあなたが一歩踏み出すだけです。
先ほど『ドラゴンボール』の話がありましたが、あの漫画も『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』と似ていますよね。
『ドラゴンボール』は、7つ全て集めると願いが叶うドラゴンボールを探す旅がベースのストーリーです。
しかし、主人公の孫悟空はその旅の中で、様々な仲間と出会い、様々な敵と戦いながら成長していきました。
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』も『ドラゴンボール』も、鍵穴やドラゴンボールを探し求める中で、主人公が成長していく姿が人の心を打ちます。
「探し物を見つける」ことは結果であり、大切なのはプロセスなのです。
もしかしたら、一歩踏み出すのが怖くて勇気が出ないこともあるかもしれません。
でも大丈夫。
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のオスカーも、玄関を出る時は毎回足が震えていました。
しかし、オスカーは玄関の扉をあけ、外の世界へと飛び出していったのです。
あなたにもできるはずです。
11歳のオスカーができたんだから。
数十年後のあなたは、あなたのその一歩を褒め称えるかもしれません。
その一歩が、あなたにとってどれだけの価値があるのか知っているからです。
知らない世界へ飛び出すのは怖いかもしれませんね。
でも少しの勇気で世界が変わることもあります。
あなたの旅は、その一歩から始まるのですから。